現在は、実在する物的運動で構成された 「現実世界」 であるのに対し、過去は、記憶意識で構成された 「過去物語」 であり、未来は想像意識で構成された 「未来物語」 である。 現代人が抱えるストレスの多くは想像意識で構成された 「不確定」 な未来物語によって誘起されるものである。 従って、第1732回で述べた 「ストレスの無力化」 はかくなる未来に向けて為されることになる。

　未来は 「一寸先は闇」 であって、その物語を正確に読める者などこの世にはいない。 最新鋭のスーパーコンピュータを使っても、その予測は未だ確立されてはいない。 その様相は、第1667回 「未来を予見する数式」 で描いている。

　であれば、未来からのストレスに対処する唯一の方法は、「自然に任せて生きる」 という以外に他に道はない。 前掲のブルースリーは、それを 「自然に任せていれば、ここぞという時にひらめく」 と簡潔にして深遠な言葉をもって表現したのである。