ビックバン宇宙（膨張宇宙）を 「風船の表面」 として表すことができる。 風船の表面に閉じこめられている住人にとっては 「2次元の平面空間」 が世界のすべてであって、膨張する風船の半径方向を表す 「3つめの次元」 に気がつかない。 同様に、閉じた宇宙の住人にとっては 「3次元の球面空間」 が宇宙のすべてであって、隠された 「4つめの次元」 に気がつかない。 宇宙の果てはどうなっているのかという 「宇宙の果て」 にまつわる謎はここに端を発する。

　それはかって地表に閉じこめられていた人が 「世界の果て」 はどうなっているのかが謎であったことと等価である。 ある人曰く、世界の果ては 「断崖絶壁」 であると。 またある人曰く、「漆黒の闇」 であると。 だがその地表が丸い球で、「世界に果てなどない」 ことを知ったとたん、もう誰もその謎を口にする者はいなくなった。 「宇宙の果て」 も同様に、隠されていた次元が見つかって、「宇宙に果てなどない」 ことを知れば、もう誰もその謎を口にする者はいなくなるに違いない。