即身を辞書で引いても 「想像と現実の融合」 という訳（意味）は出てこない。 なぜなら空海が説いた 「仏として生きる」 という 「即身成仏」 の思想哲学を、私なりに 「即身」 という語に集約して、その意味するところを 「意訳」 したものに他ならないからである。 その経緯は 「即身への道〜想像と現実の融合」 に詳しい。

　私はかねがね思想哲学は、まず何より 「自らを救う」 ものでなくてはならないとしてきた。 そのためには、その語るところ簡潔にして明瞭、ひとたびその言を聞けば、瞬時にして心身に生の躍動をもたらす 「真言（マントラ）」 のようでなければならない。 つまり、即身成仏の思想哲学を意訳した 「即身」 とは、自らに向けて発した 「真言」 というわけである。

※）即身成仏
　現実世界のこの身のままですぐに仏になること。 特に真言宗で強調する。 父母から生じた身体で、すなわちそのまま大悟の位に上りうるとして、手に印を結び、口に真言を称し、意を三摩地 (さんまじ) に統一する三密瑜伽をすすめ、 仏の法身を自内証して成仏すると説く。