未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
閉ざされた円環と開かれた円環
ニーチェの 「永遠回帰の構造」 の特徴は回帰の輪が 「閉ざされた円環」 を成していることである。 時は流れず、世界は今の今である現在にしかないこと、過去や未来はその現在に含まれているとする宇宙構造はここに端を発する。
だがこの回帰の輪が 「開かれた円環」 であったとしたらその帰結はいかなることに成るのか? 「閉ざされた円環」 とは、言うなれば物事が繰り返されるだけで変化のない(時間が流れない)「円循環の構造」 である。 他方、「開かれた円環」 とは、言うなれば物事が少しずつ変化する(時間が流れる)「螺旋円循環の構造」 である。
第279回
「人間の証明」 では、後者の 「開かれた円環」 である 「螺旋円循環の構造」 を論考している。 それは量子論から導かれたシュレジンガーの波動方程式に則して、宇宙を発生させる波動関数の収縮問題に関する 「人間の役割」 について論考したものである。 その末尾で私は 「人間の意味」 がこの役割に存在すること、しかしてそのことが化石でも幽霊でもない 「人間の証明」 であると結んでいる。
果たして、時間は存在するのか、それとも存在しないのか? 畢竟如何。
2022.09.29
copyright © Squarenet