Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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目的は瞬間にあり
 第820回 「永遠は瞬間にあり」 では、哲学者ニーチェの 「永遠回帰説」 に鑑み、同じドイツの哲学者ハイデッガーが投じた次の見解について論考した。
 ・・ 未来において何が起こるかはまさに今の今であるこの瞬間の決断にかかっているのであり、回帰の輪はどこか無限の彼方で結ばれるのではなく、輪が切れ目のない連結をとげるのは、相克の中心としての 「この瞬間」 においてなのである。 永遠回帰におけるもっとも重い本来的なものは、まさに 「永遠は瞬間にあり」 ということであり、瞬間ははかない今とか、傍観者の目前を疾走する刹那とかではなく、未来と過去との衝突であるということである ・・・
 永遠が瞬間にあるとすれば、あるいは 「生きる目的」 もまた遙か彼方の 「行き着いた先」 にあるのではなく、今の今である 「この瞬間」 にあるのかもしれない。 曰く。 「目的は瞬間にあり」 である。 かく考えれば、行くあてのない 「放浪の旅」 もまた充分に 「生きるに価する旅」 なのかもしれない。

2022.08.01


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