「われ、いまだ木鶏(もっけい)たりえず」 とは69連勝を続けていた天下無双の大横綱、双葉山が安藝ノ海に破れたときに師と仰ぐ安岡正篤に
「この一言」 をもってその敗因を伝えたと言われる。 木鶏とは、「荘子」 に収められている故事に由来する言葉で、木彫りの鶏のように全く動じない闘鶏こそが最強であるとする意である。
双葉山はその境地に至れなかった己を戒め、さらなる精進を誓う気概を示したのである。 荘子は道を体得した人物とは他者に惑わされること無く、鎮座しているだけで衆人の範となる者のことであることを
「木鶏」 の喩えをもって教えたのである。
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