「混乱の臨界点」 では、混沌とした現代社会の様相を物理学の 「エントロピ増大の法則」 を基にして描いた。
そこでは、現代社会の混乱が人類にとって対応可能な限界点に迫っているのではという危惧を提示した。 曖昧量としてのエントロピは時間の矢に対して非可逆的であって、時間が進めば進むほどに増大していく。
時間がめまぐるしく進む情報化時代の現代社会では、その増大速度は急上昇して事態の混乱は急激に拡大する。 また、エントロピは物事が新たな事態に展開する度に増大する。
言うなれば 「何ごとかをする度」 に増大する。 従って、問題の解決策は短期的には有効であっても、長期的には必ずや新たな問題を発生させて解決をより困難にさせる宿命を帯びている。
結果。 嘘のような話ではあるのだが 「進歩しない社会」 こそが最良の社会であることに行き着いてしまうのである。
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