Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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四畳半の宇宙
 彼は、かって貨物船の通信士として 「七つの海」 を渡って地球を周回していた。 その彼といつものように会話を楽しんでいたとき、私がこれからは 「半径 3Km の社会」 に回帰するであろうと予言すると、彼もそれを 了 とした。 先日その会話を回想しながら、これからは 「四畳半の宇宙」 となるであろうと再び予言すると、彼はそれもまた 了 とした。 仮想空間 「メタバース」 が喧伝される現代社会であってみれば、それは驚くことではない。 さらに、その四畳半の畳をめくれば、そこには 「新たな宇宙が広がっている 」 と言うと、「当然でしょう」 と 了 とした。
 我々の若かりし日。 世の主張は 「青年は荒野をめざせ」 であった。 その荒野をめざした彼の遠大な航跡の先にあったものが 「四畳半の宇宙」 であったとは、夢のあるような、ないような話ではあるのだが ・・ それもまた彼は 了 とするであろう。
第1488回 「半径 3Km の社会」

2022.06.08


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