Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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カジノ経済学〜金銭の争奪戦
 経済を基盤とした現代社会の様相は金銭(貨幣)の争奪戦の様相を呈している。 その争奪戦にはマルクス経済学やケインズ経済学の知識は必要とされない。 また貨幣は商品でも役務(サービス)でもない。 例えて言えば、カジノで使用される 「チップ」 に限りなく相似する。 カジノで 「資本論」 や 「市場経済理論」 が通用しないことは当然のことである。 勿論。 チップの新たな製造方法の開発や新たなチップの研究開発も必要とされない。 当然。 営業管理や労務管理も必要ない。 労働力と言えば相場師に似た社長ひとりで事足りる。 物の生産やサービスの提供をともなわない活動を経済活動と呼ぶかどうかは判断が分かれるところであろう。
 だがカジノの実体がそうであるように、この経済活動(貨幣の争奪戦)には勝者はいない。 唯一通用する理論は 「ゼロサム理論」 であって、参加者の儲けと損失の総和はゼロとなる。 この中にあって実質的な利益を得るのはカジノの経営者とチップの交換業者であって、巷ではその代金を所場代と言い手数料と称している。 彼らの日常業務はその実利を向上させるべく、あの手この手で新たな参入者を増加させることであって、その機能は風俗店での客引きのそれと等価的に相似する。

2022.05.27


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