Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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実と虚の狭間〜色即是空
 「色即是空 空即是色」 は般若心経の眼目である。 その意は 「形あるものには実体がなく、形なきものには実体がある」、「あると思うとなく、ないと思うとある」 等々。 分かったような分からないような教理である。 これを実と虚で置換すれば、「実は虚であり、虚は実である」 となり、実在と仮想で置換すれば 「実在は仮想であり、仮想は実在である」 となる。 やがてそれは荘子の 「胡蝶の夢」 の説話へと誘われてゆく。
胡蝶の夢
 荘子は夢で胡蝶となって自由に飛び回っていたが、目覚めてみると紛れもなく荘子である。 いったいそれは、荘子が夢で胡蝶となったのか? それとも、胡蝶が夢で荘子となったのか? 荘子の思想を象徴する寓話とも言われる。 「胡蝶の夢」 の説話は 「荘子」 の中でも重要とされる 「斉物論篇」 を締めくくる位置にある。 「斉物論」 とは 万物は全て斉しい(等しい)とする論とされ、是非、善悪、彼我を始めとした区別は絶対的なものではない事を主張している。 この説話でも夢と現実(胡蝶と荘子)の区別が絶対的ではないとされるとともに、とらわれのない無為自然の境地が暗示されている。

2022.03.27


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