未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
現代社会とは何か?
現代社会とは何か? この漠然たる問いにひと言で答えることは難しい。 100人に聞けば100通りの答えが返ってくるであろう。
現代社会とは 「欲望が際限なく膨張していく世界」 である。 この答えもまたその中のひとつであることには違いない。 かって幸福度を計る数式について書いたことがある。 以下の記載は
第929回
「強欲資本主義の終焉〜幸福方程式が語るもの」 からの抜粋である。
幸福方程式
幸福度は次の関係式で表される 幸福=所得/欲望
幸福度を向上させて幸福になろうとしたら欲望を今のままにして所得を増やすか、あるいは所得が今のままなら欲望を減少させるかである。 現代社会は所得も増すが欲望も増す。 これではいつまでたっても幸福感を得ることはできない。 これからの日本は所得が頭打ちとなっていくであろう。 最も確実な方法は欲望を減少させることであり、それは今日からでも実現可能である。
幸福方程式からすれば、分母の欲望が際限なく膨張していく現代社会では、分子である所得が比例して際限なく膨張しなければ幸福度を定常に維持することはできない。 あらためて数式を見直せば、分子の所得とは 「物理的な実在」 であり、分母の欲望とは 「意識的な想像」 であることに想いが至る。 しかして、実在は是非なき存在であって 「変更不能」 であることに対し、想像は曖昧な情緒的な存在であって 「変更可能」 であること。 また現実と想像の一致を目指す 「即身」 は、変更不能な事象と変更可能な事象の融合を画するようなものであること等については
第1602回
「現実と仮想〜リアルとバーチャルの狭間」 で論考したものである。
であれば、幸福方程式の幸福度を定常に維持するとは、言うなれば、現実と想像を一致させる 「即身を実現する」 ことに他ならない。 したがって、変更不能な現実である所得を拡大するよりも変更可能な想像である欲望を縮小させることの方がその実現性が高い。 変更可能な欲望の暴走に見合う所得の拡大などおよそ実現不可能な目論見と言わざるを得ないのである。
かくあれば、現代社会で起きているさまざまな矛盾の大半は欲望と所得の不一致に起因するといっても過言ではない。
2022.03.19
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