未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
片隅に生きる〜自己実現の場
時間も空間もない宇宙構造は 「細部は全体 全体は細部」 とするフラクタル幾何学概念から導かれた。 これを社会学的に考えれば、全体とは言うなればグローバル世界であって、通用する価値は汎用性であり、個人に要求される資質は没個性である。 細部とは言うなればローカル世界であって、通用する価値は独自性であり、個人に要求される資質は個性である。 従って、個人が自己実現的に生きようとするのであれば、全体よりは細部の世界である。 細部の世界とは換言すれば 「片隅の世界」 のことである。
だがその片隅の世界にも今では全体としてのグローバル世界の汎用性価値観の源泉である情報化技術(IT技術)が流入し、独自性価値観は失われ、個人は没個性的になりつつある。 これらの独自性や個性が失われてしまっては個人としての自己実現など望むべきもない。 やがて片隅の世界は全体としてのグローバル世界に吸収され、奉仕するだけの歯車のような世界に変質してしまう。 片隅に生きるとはその潮流に逆らって生きる者であることを 「心の片隅」 に置いておかなければならない。
2022.01.01
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