未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
自らに向けた哲学
「知をもって明日を拓く」 での知が哲学であるとして、ではその哲学とは何か?
辞典の解説では 「世界や人生の究極の根本原理を客観的、理性的に追求する学問。 とらわれない目で事物を広く深く見るとともに、それを自己自身の問題として究極まで求めようとするもの」 とある。
かって、とある哲学の探求者から 「あなたの宇宙モデル(
ペアポール宇宙モデル
)がまぎれもない宇宙の姿であるとすれば、私に生きていくための安心感を与えてくれる」 と言われたことがある。 そのとき、哲学とは 「自らを救うもの」 であることを得心した。 つまり、哲学の目的とは 「自らの迷いを解き放ち、自らのこころに安息をもたらす」 ことにあるということである。 哲学と聞けば難解な哲理を理解することだと考えてしまいがちであるが、哲学の存在意義は 「自らを覚醒させ生きる安心をもたらせるかどうか」 にある。 しかして、その意義の核心は 「自らを」 という 「方向性」 にある。 他者がその哲学をいかに高く評価したとて 「自らが」 その哲学を納得しない限り 「哲学の意義」 は発生しないのである。
その哲学が自らに向けたものである限り、哲学はこの世を生きる人々の 「武器」 として、「鎧」 として、「桃源郷」 として在り続けるであろう。 であれば、世相混乱を極める現代社会において、最も身につけなければならないものは 「自らに向けた哲学」 である。 かくなる哲学がなければ、人心は荒廃に陥り進むべき道を誤ってしまうであろう。 政治や社会から倫理感や正義感が失われゆく日々の様相がそのことを能弁に語っている。
2021.12.19
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