Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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原始、我々は自然人であった
 「自らの宇宙にあるがままに生きる」 とは、現代人に求められている生き方のエッセンスである。 このような生き方は原始であれば当然な生きかたであったはずである。 原始、我々はあるがままの 「自然人」 であったのであって、現代人のように社会人であったり、経済人であったり、文化人であったり、その他の多くの人工が施された○○人ではなかったはずである。
 人工が施された○○人とは人間の 「機能化」 であり、「分類化」 であり、「標準化」 である。 ゆえに現代人は機能化された人々であり、分類化された人々であり、標準化された人々である。 現代社会とは、利便性と効率性の追求を目的とした無個性で無機質な 「システム社会」 である。 現代人がその 「構成部品」 のようにみえるのはそのためである。
 哲学者ニーチェはそのような現代人の姿を 「ツァラトゥストラはかく語りき」 の中で未来に登場するとした 「末人」 として描いている。
 また英国のジェレミ・ベンサムはその効率化されたシステム社会での人間像を 「最大多数の最大幸福」 として描いている。
 ともに現代人の 「うかない顔」 の裏側にひそむ 「虚無(ニヒリズム)」 の実相を正確にとらえている。

2021.10.23


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