第1561回 「破滅からの脱出」 では現代社会に迫っている破滅への危機を回避するためには、破滅の基となっている傲慢かつ敵対的な姿勢を改め、謙虚かつ友好的な姿勢に代え、虚心坦懐に自然の声に耳を傾け宇宙の心に添うことであるとした。 同時に、その姿勢は 第1556回 「宇宙を纏う」 で描いたものであることを指摘した。 では宇宙を身に纏うとはいったいいかなることなのか？

　想像と現実をひとつに融合することが密教の大いなる秘術としての 「即身」 である。

　もし想像と現実がひとつになったものが即身としての 「宇宙」 だとすれば、宇宙を身に纏うためには、自らの想像と現実をその宇宙に融合させればよい。
　もし想像と現実がひとつになったものが即身としての 「世界」 だとすれば、世界を身に纏うためには、自らの想像と現実をその世界に融合させればよい。
　もし想像と現実がひとつになったものが即身としての 「社会」 だとすれば、社会を身に纏うためには、自らの想像と現実をその社会に融合させればよい。

　かかる意識操作の列挙は尽きることがない。 であれば即身とは尽きせぬ 「生命の海」 そのものである。 ひょっとすると破滅脱出の鍵は生命の海としての即身が握っているのかもしれない。