未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
生きてさえいれば
現代人は常に得たいの知れない何かに追いかけられているような不安感を抱いて生きている。 それは情報社会がゆえの様々な情報断片が発する脅迫観念によるものなのか? あるいは繁栄を極めたシステム社会がいつ破綻するのかと戦々恐々としているのか? とまれ、生まれいずる不安は尽きることがない。
戦国の英雄、山中鹿介は 「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」 と月に向かって祈ったという。 その祈りの意味するところは、あれこれ策をめぐらすことを放棄したあとにおとずれた 「私は何からも逃げない 何ものをも怖れない しかして ・・ ただこの世に存在するだけだ」 という諦念にも似た覚悟であろう。
それと比較して現代人は因循にして姑息。 あれこれと策をめぐらし右に左に奔走している。 がゆえに、いつまでたっても、これらの不安から逃れることができない。 このままでは、それらの不安に耐えきれなくなって、いつの日か精神崩壊に陥ってしまうかもしれない。
解決への道は ・・ ただ何も考えずに 「生きてさえいれば」 いいだけなのだが ・・ それがなかなかに難しい。
2021.06.08
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