スティーヴン・スピルバーグ監督の映画 「シンドラーのリスト」
を観た。 スピルバーグ監督がようようにして手にしたアカデミー賞作品である。 白黒画面で子供の頃に観た映画を思い出した。 私は1949年の生まれである。
この映画の舞台はそれより10年程前のナチス・ドイツの頃である。 映画はユダヤ人大量虐殺の裏に隠された人間愛の物語である。
SS(ナチ親衛隊)はユダヤ人600万、ロシア人500万、ポーランド人200万、ジプシー50万人等合わせてじつに1400万余の人間を虐殺したといわれる。
企業家であるシンドラーはもてる資産の全てを使ってその強制収容所から救出する人々のリストを作った。 そのリストが題名になった
「シンドラーのリスト」 である。 戦争が終結してシンドラーが救出した人々と別れる最後のシーンは感動的である。 もっと努力すれば
・・ もう1人でも ・・ 2人でも ・・ 救出できたのではないか ・・ とシンドラーは涙を流す。 そして、助け出された人々は別れるシンドラーのために自分たちで手作りしたひとつの指輪を贈る。
その指輪には 「1人を救うものは世界を救う」 という文字が刻まれていた。
シンドラーによって死をまぬがれた人々は1100人、今その子孫は6000人を越えるという。 確かにシンドラーが救った人々は虐殺された1400万人からすれば、わずかな人数である。
だが世界を形づくる原点がここにある。 我々は生きている間に世界の全ての人々と逢うことはできない。 身のまわりの身近な人々に自分のできるかぎりを尽くすしかないのである。
それはまた1人1人がもつ人体の中にある 「小宇宙」 と、それをつつむ 「大宇宙」 とのつながりのようでもある。 ナチスの大量虐殺は人類がもった最も悲惨な世界であった。
しかし、その狂気の嵐の中にあっても微動だにしない大宇宙と、それにつながった愛の静寂につつまれた小宇宙があったことは驚きであるとともに、「宇宙の心」
がなんであるのかを我々に暗示している。
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