未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
落栗の 座を定めるや 窪溜り
人生は春夏秋冬のごとくめぐりめぐってやがてひとつの安定に収束する。
落栗の 座を定めるや 窪溜り (おちぐりの ざをさだめるや くぼだまり)
わが身を窪地に転がる栗にたとえた漂泊の俳人、井上井月の辞世の句である。 死を前にした井月に訪れた安定とはささやかな庭にできた小さな窪溜りでしかなかった。 漂泊多年。 遂に伊那を墳墓の地と定めた諦念がひしひしと伝わってくるようである。
2021.04.30
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