それから6年の空白を費やしたはるみは 「小樽運河(1990年)」、「千年の古都(1990年)」
で再び表舞台にカンバックした。 小樽運河は演歌にとらわれないどちらかと言えばジャズのような洋風な曲調であった。 他方、千年の古都は演歌歌手としてひとり歩んできたはるみの生涯を古都に流れた悠久な時間に託して描いた
「都はるみの風景」 であるとともに、人生流転への万感の思いが込められていた。 この曲を最後にしてそれからは唄うことをやめたかのようにこれといった楽曲を残していない。
2016年にはインタビューにこたえて 「この歌でもういいかなと思うこともある いい詞に出会えばいいけど なかなか巡り会わない」
と当時の心境を述べている。 都はるみの熱情は 「千年の古都」 に燃え尽き、生まれ育った京都の空に向かって昇華、夢はもうその先へは往かなかったということであろう。
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