歴史小説は時間軸に沿って構成された 「連なった世界の物語」 であると考えられているが、過去・現在・未来で構成された
「線形時間が存在しない」 とすれば、その連なった世界の運動軌跡もまた存在しない。 それは 「過去と未来が現在に含まれているとする世界」
であって、その構造から考えれば、歴史小説は 「連なった世界の物語」 ではなく 「重なった世界の物語」 であるということになる。
重層的に構成された 「とあるひとつの歴史場面」 から他の 「とあるひとつの歴史場面」 への移行は意識世界に掛け渡された時空トンネルとしての
「意識ワームホール」 を通過することで可能となる。 歴史小説は連なった世界の物語として読むよりは、重なった世界の物語として読まれるべきである。
|