自らの内なる世界。 それは自らが築き上げた 「意識世界」 である。 人は物質で構築されている
「物質世界」 に存在しているが、同時に自らが築き上げた意識世界にも存在している。 この2つの世界は交錯していて互いに区分けして存在することはできない。
2つの世界は相対的であり、相補的である。 片方だけでは存在できない。 即身とは 「意識的想像と物質的現実を一致させること」
であるが、考えてみればこれは当然のことてあって、もし意識的想像と物質的現実が不一致であったならば、いずれの世界も崩壊してしまうに違いない。
想像と現実が一致しないと嘆いている人であっても、確たる自覚がなくても心の奥底では一致しているのである。 それは顕在意識と潜在意識のような関係であって、意識上の顕在意識では不一致であっても、意識下の潜在意識では一致していることは解き明かされた事実である。
そうであるがゆえに、身の内なる意識世界も身の外なる物質世界も破綻せずに連続して存在しているのである。 したがって、即身はことさら想像と現実の一致を心がけなくともそのままにして完成しているのである。
意識することを停止させる 「止観」 とはこのことである。 禅がめざす 「無の境地」 もまた視点を変えた止観の働きであろう。
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