世界は今、感染対策と経済対策の狭間で揺れている。このふたつの対策は相容れない対策であって両者はともに並び立たない。全くの
「アンビバレント(二律背反)」 である。この状況を表現するに、ある者は 「アクセルとブレーキを同時に踏むようなもの」 と言い、またある者は
「暖房と冷房を同時に入れるようなもの」 と言う。 A を採れば B が成り立たず、B を採れば A が成り立たない。この数学をいかに解くのか?
まさに難問である。
だが難問だからといって手をこまねいてはいられない。現実世界の胎動は生々流転してひとときもとどまらない。事態の展開は時間の矢にしたがって進むだけであって戻ることはない。決断の道筋は3通り。
その1、A を採る。 その2、B を採る。 その3、どちらも採らない。 日本の政策は、どうやら 「その3」 を採るらしい。
その1やその2の道筋は当たればいいが外れた場合の責任は重大であって、よほどの者でなければ採り得ない。 その3の道筋は言うなれば
「何もしない」 と宣言しているようなものであって、それを政策と言うかは適正を欠く。
このような状況で、古人は数々のことわざをのこしている。 曰く、「二兎を追う者は一兎をも得ず」。 「命あっての物種」 等々。
先人の知恵からすれば自ずと採る道筋は見えてくるというものである。
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