未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
日常への回帰
映画監督、小津安二郎は 「なにげない日常を描いて」 世界の映画人を魅了した。 今も尚、巨匠と言われ続ける所以である。 描かれた日常は一兵士として出征した過酷な戦争体験で遭遇した 「非日常の出来事」 の裏返しとして追求されたものであって、非日常が日常に深い影響を及ぼすことをあらわしている。
日常とは変わりばえのしない変哲なき生活風景である。 その価値を心底から自覚している者は思いのほか少ないのかもしれない。 それを自覚するのは、その日常が失われた非日常でのことである。 そして今。 世界はその非日常に向かって突き進んでいる。 であれば、やがて 「日常への回帰」 が希求される日がやって来る。
2020.09.13
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