ようようにしてコロナ禍の 「あと」 がどうなるかに思考の中枢が移ってきた。 「あったものがなかった」
と言えないように、「変わってしまった世界が変わってない」 とは言えない。 帰結を単刀直入に結言すれば 「世界はコロナ禍の “
まえ ” には戻らない」 ということである。 時間の非可逆性はまた 「世界の非可逆性」 なのである。 世界は未来に向かって移行するだけで過去には移行しない。
そうであれば 「コロナ禍の “ あと ” の世界は、コロナ禍の “ まえ ” の世界に “ さよなら ” を告げるところから始められなければならない。
不意に寺山修司の 「さよならだけが人生だ」 の詩句が未来の彼方から彷彿と浮かんできた。
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