Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
Turn

想像と言語の変換術
 「私の言語の限界が私の世界の限界を意味する、私の心の限界が私の世界の限界である」 オーストリア生まれの哲学者ウィトゲンシュタイン(1889〜1951年)の言葉である。 即身とは「意識と身体を融合する」ことである。換言すれば「想像と現実を融合させる」ことである。 その即身からすれば、ウィトゲンシュタインの 「私の言語の限界」 とは 「私の想像の限界」 を意味する。 そしてまた 「私の世界の限界」 とは 「私の現実の限界」 を意味する。
 私の想像を 「私の言語」 に置きかえ、私の現実を 「私の世界」 に置きかえれば、即身とは 「私の言語」 と 「私の世界」 を融合したものであるとなる。 この置換によって即身はより明確なものに転じる。なぜなら想像は多分に輪郭が曖昧な意識の抽象性であるのに対し、言語は多分に輪郭が明瞭な意識の具象性であるからに他ならない。リアルとしての現実に対応するにはより具体的な方法でなければ用を為さない。
 かくして、限界を超えた想像を拓くための限界を超えた言語が必要になる。 即身の 「大いなる秘術」 とは、あるいは 「想像を言語に変換する変換術」 のことなのではあるまいか? であれば 「限界を超える言語の創造」 こそが必要となる。

2020.07.09


copyright © Squarenet