空海が目指した即身とは想像と現実を一致させることである。 しかしながら 「こうでない現実」
を 「こうである現実」 と想像することは類い希なる精神的努力が不可欠である。 だがその煩悶と葛藤によって肝心の 「生そのもの」
が衰弱してしまってはもともこもない。 まして現実はこうでないことばかりであって問題の種は尽きることがないのである。 おそらく空海が目指した即身はかくなる精神的努力なしに達成されるものではなかったか?
そこにこそ即身の 「大いなる秘術」 があったのではあるまいか? こうでない現実をそのままに想像をもってこうである現実に変換してしまう秘術とは何か?
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