だがしかし、現代人は名を残すような生き方ができているのかと問われれば何とも心もとない。 それどころか現代人は名を残すような生き方そのものを生きる価値と考えているのかさえ疑わしい。
別の視点から現代人の価値観をとらえた表題に 「信義で飯が食えるか」 という常套句がある。 この表題からすれば生きるための価値観には
「死んだあとのこと」 などは考慮されていない。 今を生きるのに精一杯なのであって、今日食べることが何にもまして優先されるのである。
そのためにはお金が必要なのであって、それに供さない 「死んだあとに名を残す」 ことや 「信義」 などは単なる 「お題目」 にすぎないのである。
現代社会で横行する今日さえよければという刹那主義や生存目的のためには虚偽さえも容認されるという倫理観の根底にはこのような構図が歴々と横たわっている。
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