Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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宇宙の天敵
 社会を変えようとあれこれ画策しても効果があらわれないのはなぜか? 社会が必ずしも科学的真理に従わないことからすれば、科学的真理に則って画策しても必ずしも効果があらわれないことは納得できる。 同様に社会が必ずしも道義的真偽に従わないことからすれば、道義的真偽に則って画策しても必ずしも効果があらわれないこともまた納得できる。
 画策が人智をもって社会をコントロールしようとする試みであるとすれば、その策の多くが道義的真偽に則った社会的真偽に基づいて制作されることは当然の成り行きであろう。 社会的真偽は相対的なものであって時と場合によって変化する。 現代ではその時と場合が頻繁に変化して安定しないため、真偽はいつしかフェイク(虚偽)に置きかえられてしまう。 そうなれば画策はもはや狐と狸の 「化かし合い」 と同義である。 曰く。 現代に於けるあらゆる画策は言うなればこの 「化かし合い」 のことである。 化かし合いは 「騙し合い」 に還元されることで現代フェイク社会の基本路線が確立される。
 だが科学的真理にも道義的真偽にも従わない現代フェイク社会とはいったい 「何もの」 なのか? 社会が人間によって作られている以上はその原因が人間自らの内にあることは明白である。 いうなれば、科学的真理や道義的真偽を軽んじる因子が人間自らの内に存在しているのである。 宇宙が科学的真理に従って運行していることを疑う者はいないであろう。 であれば人間のみがその宇宙の運行に害を為す唯一無二の 「天敵」 ということになってしまう。

2019.07.15


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