未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
現代情報社会の真相(4)〜大いなる危機
人間の実存性においてその根幹を成す身体と精神の構成比率は物理的存在としての身体が50%、意識的存在である精神が50%が妥当なところであろう。 それは前述した2元論の根拠でもある。 またその構造は 「1枚の紙」 の構造と等価であってどちらが表でどちらが裏であるかを特定することはできない。
常識人が依存する物質重視の思考法からすれば物質的な身体を表とし意識的な精神を裏とする考え方が多数派を占めてきたことは周知のごとくであろう。 だが情報社会が進展するにしたがって意識重視の思考法が勢いを増し精神が表で身体が裏といった逆転現象が台頭しつつある。 曰く。 物質的人間像から精神的人間像への転化である。
宇宙のあらゆる現象を記述するシュレジンガーの波動方程式における波動関数を収縮させるものは 「意識的観測」 である。 その意識的観測を可能ならしめる唯一の存在が 「人間意識」 であることからすれば精神的人間像への転化は必然の成り行きであろう。 その意識的観測の結果として生まれてきた現代情報社会の実相からすればその流れを止めることは多大な抵抗が伴う難事であろう。 だがだからといって漫然と放置していては流れは激流へと変わり、やがては手がつけられない氾濫へと至ってしまう。
昨今頻発する異常な社会現象の数々は膨張した人間意識による意識的観測の氾濫がもたらした波動関数の急激な収縮に帰因しているのかもしれない。 かくなる状況に目を背けてさらなる放置が進めば、ついには人間社会そのものが破綻してしまうのかもしれない。 それは現代情報社会に内在する 「大いなる危機」 の真相である。
対応策としては、ベストエッセイセレクション 「
即身への道〜想像と現実の融合
」 の中に配した 「進化する頭脳の救済法」 や 「止観」 等々の項で論考している。 重複を避けてここではその記述を割愛するが各項を参照願えれば幸いである。
2019.06.02
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