未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
天網恢々疎にして漏らさず
科学的合理主義万能への喧噪が始まった250年前にドイツの文豪、ゲーテが予言した通りに現代はすぐれた頭脳、理解の早い実用的な人間のための時代であって、たとえみずからは最高度の天分を有さずとも、ある程度の器用さを身につけているだけで衆に抜きんでると思っているようである。 それを現代風の表現に訳せば 「お調子者の時代」 ということであろう。
だがそれは底の浅い人間ならではの思惑であって 「さまざまな試み」 はやがていつか破綻してしまうであろう。 科学的合理主義のあまりの成功に酔いしれ増上慢に陥った人間たちは、この世のすべてが人智をもってどうにでもなるかのごとく考えているのかもしれないが、人智をもってどうにかなるのは 「ほんのわずか」 などうでもいいような部分においてのみである。 その 「ほとんど」 は人智を超えた 「天の計らい」 であってどうにもならない。
「天網恢々疎にして漏らさず」 の喩えのごとく、かくなる 「天の配剤」 はあまねく宇宙全体に満ちている。 人智をもって策などめぐらすことなどもとから必要ないのである。
2019.04.07
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