Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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これでいいのだ
 空海と陽明の同期性はさらに続く。
 空海の求道法である 「仏として生きる」 はまた陽明の求道法である 「心即理」 に一致する。 仏として生きるとは人間は本来仏であって仏に成ろうとあれこれ考えずとも仏として仏らしく生きれば 「それでいい」 とする大きな意識跳躍をともなう超越的な教えである。 同様に 「心は即ち理である」 とする心即理は人間は生まれたときから心と理は一体であって心があとから付け加わったものではなくその心が私欲で曇っていなければ 「心の本来のあり方がおのずと理と合致する」 とするこれまた大きな意識跳躍をともなう超越的な教えである。
 両者の教義をひとことにまとめれば 「そのままでいい」 ということに尽きる。 どこか漫画家、赤塚不二夫が生前に口癖のように放言していた 「これでいいのだ」 と通底で一致することに奇妙な感懐を覚えるのは私だけではあるまい。

2019.03.17


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