この世を量る天秤には相対的な価値を判定する 「人倫の天秤」 と絶対的な価値を判定する 「宇宙の天秤(天の天秤)」
の2つがある。 今や世界は 「人倫の天秤」 1極だけの時代に入ろうとしている。 言うなれば、すべては 「人間が決めればいいのだ」
という時代である。 人間こそが全てで絶対だという価値観の台頭である。 人類は気づかぬうちにいつの間にか怖ろしいほどに尊大になってしまったようである。
だが人倫の天秤は 「宇宙の天秤」 の下に位置する天秤であることを忘れてはならない。 人倫の天秤ではともすると 「水が低きから高きに流れる」
ことがあるが、宇宙の天秤では 「氷でお湯を沸かすことができない」 ように 「水を低きから高きに流す」 ことはできない。 これは絶対的真理であって人為をもってどうこうできるものではない。
人倫の天秤は世の多数決で決定される相対的真理であって時と場合でその量目は異なる。 宇宙の天秤は人為が介在しないことをもって、その量目に是非はない。
人倫の天秤は人為が介在することをもって、その量目に是非がある。 政治家が多用する 「是々非々」 とはこの是非のことである。
|