未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
情報量過多の時代
内と外。 何を内に 「秘密」 にして 何を外に 「展開」 するかは、この世界を動かすにおいて最も重要な検討課題である。 それは真言密教を創始した弘法大師、空海にして熟慮に熟慮を重ねて構想し入念に準備した要所であった。
真理だからといって何もかもすべてオープンにすればよいというものではない。 真理が重んじられるためには 「内と外が絶妙の割合に制御」 されなければならないのである。 真言とは実に言うことよりも 「言わないこと」 に存在するのであって、「内に秘めなければ」 その威力は発揮されない。
さまざまな情報の公開と伝達を効率的に行うことを画して始まった情報化時代であるが、その情報の価値とは、実にこの 「公開も伝達もされない部分」 にこそ存在するのである。
もっともこの情報の価値は流通する情報量の多寡によっても変化する。 情報量が過少の時代では公開すること伝達することに価値が存在し、逆に情報量が過多の時代では公開しないこと伝達しないことに価値が存在する。 勿論のこと情報化時代とは 「情報量過多の時代」 なのであって、内と外は相応に制御されなければならない。
2018.08.11
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