未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
心頭滅却すれば火もまた涼し
猛暑は依然として続いている。 近代文明は科学をもって人々の生活を豊かにそして便利にしてくれた。 だがここにきての異常気象。 その結果としての豪雨災害や、気象庁が 「生命の危機に及ぶ」 とまで警鐘を鳴らす熱波には、その文明の利器である科学をもってしても、いかんともしがたい。
気象庁は 「ためらうことなく冷房を使ってくれ」 というのだが、その電気代はいったい 「誰が払ってくれる」 というのであろう? かくこのような論理矛盾を気象庁ともあろう官庁が声高に喧伝すること自体に制御不能な 「事態の混乱」 があらわれている。 それは意味もなくただただ 「熱い、熱い、熱い」 を連呼する報道機関にしても本質に違いはない。 伝えるべき 「有効策がない」 というのであれば、いっそ昔に戻って 「心頭滅却すれば火もまた涼し」 とでもいって欲しいものである。
※)心頭滅却すれば火もまた涼し
無念無想の境地にあればどんな苦痛も苦痛と感じない。 禅家の公案とされ、1582年、甲斐の恵林寺が織田信長に焼き打ちされた際、住職であった快川和尚がこの偈を発して焼死したという。
2018.08.02
copyright © Squarenet