未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
自由競争と生存競争の狭間
現代社会は法に抵触しないかぎり何をしても何を考えても基本的には自由である。 だがその自由が現代人の行動をあらぬ方向へと誘導していく。
何もかもが自由だからといって、人間がもつ倫理感までが自由であるわけではない。 現代経済学は自由競争を推奨する。 自由競争こそが社会を牽引するエンジンであると。 だがこの自由競争とは名前を代えた 「生存競争」 であることは慎重に見極められてしかるべきである。 そこには自らが生き残るためには 「何をしても許される」 かのような倫理観が漂っているからに他ならない。
かってあった社会は同じ人間行動であっても、これほどまでに 「厚かましく」 も、また 「剥きだし」 でもなかった。 そこには 「自ずとした節度」 があったはずである。 今では、その様相 まさに 「たがが外れた樽」 のように底が抜けている。
かような自由競争(生存競争)の勝利者(権力者)が、自らに都合良く 「法をねじ曲げ」 て傍若無人に巷間を闊歩するようになってしまっては、もはやそこには 「輝ける未来」 は存在しない。 自由には相応の厳しさが自らに求められるのである。
自由とは功罪相半ば 「諸刃の剣」 であって、使い方を誤ると 「百害」 となって自らに戻ってくることを ゆめゆめ 忘れてはならない。
2018.08.01
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