未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
天災は忘れる前にやって来る〜不作為の作為
長く続いた集中豪雨はかってないほどの多大な被害を西日本全域にもたらし過ぎていった。 やはりこの状況は 「異常」 である。 異常気象の原因とされている地球温暖化に歯止めがかからなければ、かくなる災厄は 「過ぎ去ったのではなく 間隔を置いて再びやってくる」 に違いない。
寺田寅彦が 「天災は忘れた頃にやって来る」 と言った時代は彼方に去り 「天災は忘れる前にやって来る」 時代になろうとしている。 寅彦は人間に内在する 「油断」 を戒めるために 「天災は忘れた頃に」 と警告したのである。 だが天災が 「稀有なる災害」 から 「日常なる災害」 に変質してしまうと寅彦の警告は無効に逸してしまう。
「天災は忘れる前にやって来る」 とは私の脳裏に浮かんだ 「アフォリズム(警句)」 であって、実に 「不作為の作為」 を戒める言葉である。 不作為の作為とは 「そうなると分かっているのに何もしない」 という現代人が内在する特有の 「怠惰」 のことである。 「油断」 と 「怠惰」 人間にとっていったいどちらが 「大敵」 なのであろうか?
2018.07.09
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