私が森田童子を最初に知ったのはテレビドラマ「高校教師」の主題歌「ぼくたちの失敗」の歌手としてであった。
このテレビドラマを娘が観ていて、知らず私も見続けることとなり、森田童子の人となりをその娘から聞いたことに端を発する。 今までにはなかった曲想はその頃の「成熟したがゆえの変質」に向かう日本社会の様相を象徴しているかのようであった。
発売から17年を経てドラマとともに「ぼくたちの失敗」もヒットして森田童子の名も広く知られるようになった。 だが彼女は「この遠大な時間差のある称賛から顔を背けようとするように」かたくなに沈黙したままだったのである。
|