生涯を代表する大作となった 「秘密曼荼羅十住心論」 と 「秘蔵宝鑰」 を書き終えた空海はその5年後、62歳で高野山に入定(入滅)している。
入定に先だち空海は 「私は兜率天へのぼり 弥勒菩薩の御前に参るであろう そして56億7000万年後 私は必ず弥勒菩薩とともに下生する」
と弟子たちに遺告する。 弥勒菩薩とは釈迦の弟子で死後、天上の兜率天に生まれ、釈迦の滅後、56億7000万年後に再び人間世界に下生し、出家修道して悟りを開き、竜華樹の下で三度の説法を行い、釈迦滅後の人々を救うといわれている菩薩である。
空海は若き日より兜率天の弥勒菩薩のもとへ行くことが生涯の目標であったのである。
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