Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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知と行
 私は陽明学の祖である王陽明が唱えた「知行合一」を長らく「知っているだけで 行わないのは 知っていることにはならない」と理解してきた。 行動に現れない認識には意味がなく「認識と行動の合致」こそが大事であるとする作家、三島由紀夫の理解などがその代表であろうが、それは知識偏重の風潮に対して実践することを促すための方便論であって真意ではない。
 陽明は知と行という「別々のものを合わせる」といっているのではなく、「もともと分けられない」と言っているのである。 学ぶことが即ち行為であって、学んだ後で行為するのではない。 知と行は分離不可分であって、行が行為であれば、知もまた行為である。 知として考えることも、行として行為することも、ともに 「意志の力」 がなければできないのはそのためである。

2018.05.13


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