未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
過去世界と未来世界〜その発生と消失のメカニズム
歳を重ねるにしたがい過去の世界はなにげなくふと浮かんでくるのだが、未来の世界はなかなか浮かんでこない。 過去が記憶で構成され未来が想像で構成されることからすれば、未来の世界が容易に浮かんでこないのはその想像力の欠如に原因がある。
若年の頃は記憶された過去世界は老年のそれとくらべてその量ははるかに少なく、それに反比例して想像される未来世界は老年のそれとくらべてその量ははるかに多い。
言うなれば若年の行動様式は未来世界に重点がおかれ、老年の行動様式は過去世界に重点が置かれるという必然性である。 比較する若年の歳をさらに引き下げ、老年の歳をさらに引き上げれば、その比率はさらに拡大し、若年の意識は未来世界ばかりに、老年の意識は過去世界ばかりに傾斜していく。 そしてついには若年の意識世界からは過去世界が、老年の意識世界はからは未来世界が消失してしまう。 これが過去世界と未来世界の発生と消失のメカニズムである。
このメカニズムは必然性をともなった誰しも免れ得ぬものであろう。 多少でも抵抗を試みるならば、若年では過去を省みて記憶することに、老年では未来を夢みて想像することにその思いを傾注させることであろうがどうであろうか?
2018.03.30
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