実験に対するファインマンの説明によれば ・・ 光子や電子などの量子粒子は発射源と蛍光板の到達点の間で、ありとあらゆる可能な道筋、あるいは軌跡を試そうとする。
微粒子は波長が長いために水の波の干渉のように蛍光板上に干渉縞状の到達点の確率分布を示す。 だが粒子の質量が大きい野球のボールともなれば、ニュートン力学が述べる道筋以外のいかなる軌跡でも相殺干渉が起こることを示している。
量子論では電子がどこに到達するかを予測することはできない。 それは電子がある点に到達する確率を示すだけである。 言えることは電子を1個蛍光板に向けて発射したならば、蛍光板上の多くの点で閃光が現れる可能性である。
だが確率は測定が行われることで事実に変わる。 電子がある点で発見されたが最後、それがほかの場所で見つかる確率はゼロになる。
何度も何度も実験を繰り返して初めて、確率分布が意味のあるものとなり干渉縞が形成されるのである。 つまり、電子が蛍光板に衝突する前に、その所在を尋ねることはできない。
電子は何らかの方法で空間と時間全体に広がっており、蛍光板に衝突する前は、まったくでたらめな方法で2つのスリットを通り抜け、自分自身と干渉しあっている。
電子は同時にすべての場所に存在し、かつどこにも存在しない。 事が起こるたびに、世界は新しく生まれる ・・ というのである。
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