未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
思いのない世界
人生とはこの世の万物事象を背景にして「自らの思いを描いた」1点の絵画のようである。
芸術とはその思いが描いた創作である。それは作曲であっても、作文であっても、作画であっても同じである。そこに作者の思いが描かれていなければ、いかように形が整っていても、それは駄作であって魅力がない。表現された思いこそが、その作者の独創性であり、存在感である。それは作者の「意識の指紋」のようなものであって「作風」と呼ばれる。
芸術家の真価はかかる作風を創りあげれるか否かにかかっている。しかしてその作風の源泉が作者の思いから生まれることからすれば「思いがなければ」何も描くことはできない。同様に思いがなければ、この世のキャンバスに自らの人生を描くことなどできない。
だが昨今の世相を眺めれば、整ってはいても「思いのない」芸術作品が世の大道を横行してはばからない。それはまた作品としての人生においてもしかり、「50歩100歩」の域をでていない。「思いのない世界」はまことにもって味気なく無味乾燥の荒野のようである。
2017.12.25
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