Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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漂流記
 1888年に発表された ジュール・ヴェルヌの冒険小説「十五少年漂流記」は 物体としての少年たちが 漂流した無人島で力を合わせて生活していく物語である。 だが現代の少年たちが体験する「心の漂流」は 現実から遊離したバーチャルな ネット世界でのことであり 会話は「Twitter(ツイッター)」 繋がりは「LINE(ライン)」と呼ばれる電子ツールを使った 「Web(ウェブ)」社会の中で進行する話である。
 物体としての 船の漂流ならば 錨を投じれば防ぐことができるが 心の漂流となると 何が錨なのかさえも定かではない。そう考えると 現代の少年たちは 果てしなく広く 底なしに深い 暗黒の大海原で寄る辺なく彷徨する漂流者のように思えてくる。 さらには この少年たちには 地図や羅針盤さえも 与えられていないのかもしれないのだ これほど過酷な漂流は他にはあるまい。

2017.11.30


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