未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
変化考(1)〜変化しなければならない
転がる石は苔を付けない "A rolling stone gathers no moss" という箴言がある。
似た箴言に「石の上にも三年」というのがある。いずれもものごとを頻繁に変えていたのでは「ものにならない」ことを戒めたものである。我々「団塊の世代」はこの教訓のもとに育ってきたといっても過言ではない。
だがその後の日本社会の変遷にともなって、今では「10年1日(いちじつ)のごとく」というような変化のないやりかたは駄目だという、まったく逆な教訓に改められようとしている。現代の若者世代はこの戒めのもとに育っている。 ゼロからやり直せ ・・ すべてをリセットせよ ・・ ものごとは頻繁に変えなければ「ものにならない」ことになってしまったのである。
価値観は重厚長大から軽薄短小に転換され、足腰は軽ければ軽いほどいいことになり、苔など付けていようものなら時代遅れの烙印を押されかねない。
世界は変化しなければならない ・・ 発想は転換されなければならない ・・ 生活は改められなければならない ・・ 達成に時間をかけてはならない ・・ ならない ・・ ならない。 こうなるとやがては「人生に時間をかけてはならない」が厚労省の標語になる日もそう遠くはない。
私には「インスタントな人生」に、それほどに価値があるとは到底思えないのであるが。
2017.09.29
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