能力主義は確かに経済効率を向上させることに成功したが、反面で人と人を分断させて格差社会を生むという弊害も同時にもたらした。「能力さえあれば何をしてもいい」というがごときのむき出しの競争心(あるいは敵愾心)は、強者が弱者を助けるどころか、弱者を踏み台にして強者が抜きんでようとする。同じ会社の社員であっても家族どころか、倒さなければならない油断ならない競争相手である。これでは経済成果どころか、そのまえに人間そのものが疲弊して倒れてしまう。能力さえあればいいという能力至上主義はこのままではやがて行き詰まってしまうであろう。
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