Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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人間の目論見や恐るべし〜ゲノム革命の意味するもの
 先日、「ゲノム革命〜生命の設計図 自在に操作」と題した新聞記事を読んだ。記事内容のあらましは以下のようである。
 生命の設計図とされるゲノム(全遺伝情報)が医療や農業を大きく変えようとしている。遺伝子を自在に切り貼りできる「ゲノム編集」と呼ぶ画期的技術が登場、解析コストも劇的に下がって一気に活気づいた。一方、安易な生命操作や差別などの課題も抱える。顕微鏡をのぞきながら、卵子にガラス針を刺して精子を注入する。実験の様子は不妊治療で使う体外受精と変わらない。だが、できた受精卵には、重い心臓病を起こす遺伝子の異常が消えた。修復を可能にしたのがゲノム編集だ。 記事はさらにこのゲノム編集を使って真鯛の身の量を6割増やすことに成功した等々と続く ・・。
 ゲノム編集とは言うなれば生命体がもつ遺伝情報を人為的にコピー&ペーストして都合良く変えてしまおうという目論見である。インターネットに掲載された文章から適当に抽出した文をコピー&ペーストしてひとつの文章を作成するのもそう褒められた話ではないが、コピー&ペーストの相手が生命体ともなれば影響は甚大である。
 あるいはそのうちインターネット上に掲載されている無料の遺伝情報を使って好き勝手に生命体を編集する時代が来るとでもいうのであろうか ・・? いやはや人間の目論見や恐るべし、今では悪魔を超えるほどである。

2017.08.21


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