未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
最強の名医
最強の名医とは「免疫」である。
好むと好まざるとにかかわらず生物であればかくなる名医を備えている。人間がこの宇宙を生きていけるのもまたかくなる名医を備えているからに他ならない。
宇宙にはさまざまな病原体が所狭しとたむろし人体を犯そうと虎視眈々と機会を狙っている。だが彼らが人体に侵入を果たしたとしても免疫の監視網にかかれば素早く対応する抗体を組織し一網打尽にしてしまう。それは病原体の種類に関係なく新手の病原体を送り込んでみてもすばやくその弱点を見抜き対応可能な新たな抗体を組織して撃退してしまう。
その機能と能力は最先端医療設備を備えた大病院も遠く及ばないほどである。だが近年に至ってかくなる最強の名医としての免疫力の衰弱が著しくなってきたことは雇い主である人間にとって危惧すべき由々しき事態である。
専門家ではないので軽々には論ずることはできないが、その衰弱の最大要因は人間の生活環境が「自然」から「人工」へと移行してしまったことにあるのではあるまいか? 象徴的な表現を用いれば「森の世界」から「街の世界」へのシフトである。
免疫力を向上させるものを愚考すれば以下のようである
1)喜び笑う
2)夢と希望をもつ
3)林間を散歩する
4)力を抜いてストレスをかけない
5)充分な睡眠をとる
6)むやみに薬を飲まない 等々。
いずれも笑われるほどに当然にしてあたりまえのことである。だがその当然のことがままならなくなっているのが街の世界での現状なのである。
体内の名医が衰弱してしまってはもはや体外の名医にすがるしか他に道はないが、その治療法が投薬の効力をあげるためなのか(?)免疫抑制剤を用いて体内の名医を身動きできなくさせてしまうことには納得がいかない。 体内の名医の活躍なくして人体の治癒回復などありえないと思うのだが ・・ どうであろう?
免疫力は生命力と言い換えてもよい。免疫力が低下するとは生命力が低下することである。生命力が低下してしまっては生物として「元も子もない」。 あるいは人類は、いつの日か再び、森の世界へ帰っていくのではあるまいか ・・ そんな風景が既視感をともなって浮かんでくる。
2017.07.07
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