未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
宇宙の相対性はかくの如し
静か動か? それは静止しているのか、はたまた移動しているのか?
それは基準を何にとるかで異なる。山は動かずと言う、だが山が乗った地球は「1日かけて自転」し、太陽を中心にして「1年かけて公転」している。とある子供が家に引きこもっていると言う、だがその子供を乗せた地球はかくのごとく動いている。ゴールデンウィークに海外旅行する者もテレビの前で寝転がっている者も基準のとりかたでは50歩100歩の違いでしかない。
朝から晩まで外を走り回る営業マンと終始内なる営業所に座っている営業マンではどちらが営業効率が高いのであろうか?
営業効率が顧客と遭遇する確率であるとすれば、顧客が静止している場合は走り回る営業マンに、顧客が動き回っている場合は座っている営業マンに軍配が上がるであろう。市場が静的状態であれば走り回るべきであり、動的状態であれば座っているべきである。よほどの達人でなければ疾駆する馬上から動き回る獲物を騎射することができないのはそのためである。
戦国の武将、武田信玄がとった戦略は、相手が動とみれば「林の如く山の如くの静」であり、相手が静とみれば「風の如く火の如くの動」であった。旗印の「風林火山」はその意図をあらわしている。また「風と共に去りぬ」を書いたマーガレット・ミッチェルの墓碑銘は「アトランタに生まれアトランタに死す」であったという。
宇宙の相対性はかくの如しである。
2017.04.27
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