未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
奪うばかりで愛でることがない
地球温暖化による自然環境異変は桜の花さえ咲く時期を狂わせている。このまま進めば綿々と敷島(日本列島)に受け継がれてきた花鳥風月の折節もどうなるかわかったものではない。
現代人は奪うばかりで愛でることがない。「愛でる」とは、精神的な余裕から生まれる情感であるからして、現代人にはその余裕がないということになる。他方、「奪う」とは、行動をともなった攻撃性を基とする。ゆえに地球温暖化による自然環境異変はその余裕を失った攻撃性に支配された行動によってもたらされたことになる。
攻撃性に支配された行動は核分裂のごとく次々に連鎖反応を引き起こして膨大なエネルギを発生させる。この連鎖反応の速度を制御する制御棒にあたるものが余裕に支えられた情感であろうことは容易に想像されるところである。
かくなる制御機能が壊れた原子炉の惨状は福島第1原子力発電所の現状を鑑みれば明らかであろう。 「花鳥風月の折節もどうなるかわかったものではない」とは、そういうことである。
2017.04.14
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