Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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末人とは獣人か〜仁義なき戦い
 身の安全と安泰。それは生きていくための基本的条件である。それがなければ生きていけない。だがその安全と安泰を得るために「何のために生きるのか?」という「生きる意味」を捨て去ってもいいわけはない。生きる意味は、生きるために「必要ない」というのが現代人の通常の価値観であろうし、そもそも、すべての意味を、生きるに必要か必要でないかで考えるところに、現代人の特質が顕れている。
 この価値観に従えば、生きるに必要ないものは、すべて価値がないものとなる。現代人が言う「生きる」とは、物質的に生存することを意味しているが、その物質的な人間が、生存するために最も重要視しているのが「衣食住」という物質的な機能である。ゆえに、現代人は衣食住に最大の関心をはらっている。他方、生きる意味は、それが無かったとしても生存が失われることはなく、逆にそれが有ったとしても、生存が保証されるものでもない。ゆえに、現代人は生きる意味には多くの関心をはらわず、ときとして、いと易く捨て去る。
 生きる意味を捨て去る生き方とは、言うなれば、弱肉強食を信条とする獣のような生き方とそう大差はない。哲学者、ニーチェが予言した「末人」とは、あるいは「獣人」なのであろうか?
 もし獣人であるとすれば、今後の世界は、生存を賭けた、信義も仁義もない戦いとなるであろう。そこでは卑劣極まりない、あらゆる卑怯な戦法さえも用いられることになる。
末人 / 第636回
ツァラトゥストラはかく語りき〜もって瞑すべき / 第1021回

2017.04.10


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